株式会社の前株と後株の違いについて!会社名を考えている方へ、おすすめの会社名の付け方をご紹介。

株式会社の前株と後株の違いについて!会社名を考えている方へ、おすすめの会社名の付け方をご紹介。

自分で起業を考えている方が最初に迷う大きなポイント、それは会社名でしょう。

自分が気に入った名前をつけても良いし、提供サービスが分かりやすい名前をつけても良いし、何の意味もない名前をつけても良い、会社名自体に細かなルールは無いので好きな名前がつけられます。
と言っている僕の会社も、二つの英単語を合体させた造語です。

しかし、あなたが株式会社を設立しようした場合に求められる一つのルール、それは前株か後株か。
「株式会社〇〇」という表記にするのか、「〇〇株式会社」という名前にするのか。

株式会社を設立する場合、「株式会社」という表記をつけることが必要となるのですが、「株式会社」の表記は名前の前と後のどちらかに付いている形式を多く見かけますね。

今回は前株と後株の違い、また決め方についてご紹介します。

前株と後株はどちらでも良い

前株と後株はどちらでも良い

実は会社名を決めるときに、前株か後株のどちらにするかは自由です。

会社法の中でも

第六条 会社は、その名称を商号とする。
2 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
3 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

と表記されています。

中には会社の規模によって株式会社〇〇、〇〇株式会社の表示が違うと思っている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。前株か後株かは会社を設立するときに決めてしまうので、会社の規模によって変化するようなものでは無いんです。

ただ、例えば「桃太郎」という会社が存在したとして、前株の「株式会社桃太郎」と後株の「桃太郎株式会社」は別会社として認識されます。もしあなたの希望する会社名がすでに存在する場合には、前株と後株で違いを付けると良いかもしれませんね。

前株と後株は別会社として認識されるとしても、それぞれに対して法律的な決まりというものはありません。前株が有利とか、後株だから規模が大きいとか、どちらが優れているとかっていう意味はないんです。

「株式会社」という表記を入れることは必須になりますが、前株にするか後株にするかは創業者のセンスで決めて良いということです。

僕はまだ出会ったことがないんですが、”中株”という形で名前の間に「株式会社」の表記を入れている会社さんもあるようです。

前株と後株の与える印象の違い

前株と後株の与える印象の違い

どちらでも良いと言っても、前株と後株ではそもそもの会社の呼び方が変わります。呼び方が変わるので社外に対して与える印象もちょっと変わってきますね。

ちなみに、僕が経営する会社は全て前株です。

ここでは、あくまで僕の感想として前株と後株が与えるイメージについてご紹介します。

前株の会社名のイメージ

会社名を前株としている場合、その会社が「株式会社」であることを強く印象付けるイメージがあります。

会社としての在り方としては、

  • 個人事業主
  • 有限会社(2006年施行の会社法で廃止されたので現在は新設できない)
  • 合同会社
  • 株式会社

などの種類がありますが、ひと昔前まで株式会社を設立するためには1,000万円以上の資本金が必要でした。

自社の株式を発行し、投資家や銀行から資金調達することによって事業を行う会社のことを株式会社と呼んでいたので、それなりな事業規模が想定されないと株式会社を名乗れなかったんです。株式会社はそれだけハードルの高い会社の在り方だったということ。

つまり、その時代には「株式会社」と名前が付いているだけで、規模が大きく、多額の出資を受けて事業展開している会社として信頼を得られていたんです。

そのため、前株で「株式会社〇〇」というように株式会社を全面にアピールすることで信頼性を高めたり、と一定のメリットがありました。

しかし、今となっては株式会社であっても資本金1円から創業できますし、株式会社だからどうだ、合同会社だからどうだっていうような境界線もなくなりつつあります。株式会社だから大きな信頼性があるというわけでもないんです。

このような時代になってくると株式会社であることをアピールするような必要もありません。

と言いつつも、やはり前株表記で「株式会社〇〇」と表記している会社は多くあります。特に昨今は会社名を漢字ではなくカタカナ表記で表す会社も多く、そう言った会社は前株を選ぶ傾向にありますね。

後株の会社のイメージ

後株の会社名を付けている会社は「〇〇」という会社名が頭に来ることによって、ブランディングを行いやすい傾向にあるかもしれません。

会社名がズラッと並んでいる場面をイメージすると、前株の会社は

  • 株式会社〇〇
  • 株式会社△△
  • 株式会社◇◇

というような感じで並ぶのに対し、後株の会社は会社名の先頭が株式会社ではなく、会社名そのものになります。あいうえお順に並んだときにも前株の会社のように並ぶのではなく、他の会社とは少し差別化された表示が可能ですね。

つまり、後株の会社は「株式会社」を含めた会社名というよりは、独自に付けた名前の部分が目立ちやすい傾向にあります。後株の場合は名前が前に来るので覚えてもらいやすいというメリットも多少あるので、会社名のブランディングとしては良いのかもしれませんね。

また、後株にする場合は会社の名前でどんなサービスを行なっている会社かがすぐ分かるような会社さんがメリットが大きいように感じます。名前そのものを覚えてもらいやすいのであれば、その会社の事業、サービスも会社名で伝えてしまうのが一番良いですね。

中株の会社のイメージ

僕自身、中株をつけようと思った事もないですし、いまだに中株の会社さんとお会いしたことがありません。

なので中株の明確なイメージというのも湧かないのが正直なところなのですが、中株だと「〇〇株式会社△△」という名前になるのでインパクトはありますね。なかなか聞かない表記なので覚えてもらいやすいのか、もしくははっきりと理解してもらえず覚えてもらいにくいのか…。

ちょっと変わった会社名にしたい場合は中株を検討してみても良いのかもしれません。

海外の会社名には前株、後株というものはない

前株、後株という会社名表記の違いは日本独特のものであり、海外では基本的に前株や後株といった違いはありません。

会社名を英語表記したことがある人は分かるとおり、英語表記では

  • 〇〇Co., Ltd.
  • △△,Inc

のように末尾にCo., Ltd.や,Incを付けて表記するのが一般的です。

Co., Ltd.や,Incの違いとして、Ltd.というのは「Limited」の略で主にイギリスで一般的に使われている表記。
「Inc.」は主にアメリカやカナダで使われるIncorporatedの略。「Co., Ltd.」 はCompany Limitedの略で、主に日本語の「株式会社」、「有限会社」の英訳として使用されているそうです。

結局のところ、前株と後株は好みで決めてOK

結局のところ、前株と後株は好みで決めてOK

日本の会社名で前株と後株に対して明確な法律(会社法)の決まりはないので、創業者が好きなように決めて大丈夫ということです。

新しい会社で、特にIT系企業の場合は会社名がアルファベットだったりカタカナだったりすることが多いので前株を使用している会社が多いですし、古くから行われているような事業を行う会社は事業内容が分かりやすいように後株を選ぶ傾向にあります。

僕の個人的な主観として

  • 前株を選ぶケース:先進的な会社、もしくはビジョン型の会社の場合
  • 後株を選ぶケース:会社のブランディングをしたい、事業内容を明確に会社名で表記したい場合

というような区別がわかりやすいのではないかなと思っています。

会社名はコロコロ変えるものではありませんし、これから会社を設立したい人はしっかりと悩んで、何があっても守っていく覚悟を持って会社名を決めましょう。