ASD(自閉症スペクトラム障害)とは?その症状と特徴。

ASD(自閉症スペクトラム障害)とは?その症状と特徴。

こんにちは、パンダリオン(@pandarion_com)です。

発達障害の中の一つにASDとよばれるものがあります。ASDとは、自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群のことを指します。

自閉症スペクトラムと、アスペルガー症候群と言うのは、基本的には同じものです。以前までは”アスペルガー症候群”と呼ばれていましたが、診断基準や診断名の変更によって現在では”自閉症スペクトラム”と呼ばれるのがメジャーになっています。

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ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)とはどういった症状なのでしょう?どういった特徴があるのでしょうか?

やはり発達障害には段階が多くあり、一括りに症状や特徴を断定することは出来ません。ASDの特徴に関しても全員が全く同じと言える症状や特徴はありませんが、典型的な特徴をご紹介いたします。

言葉の遅れ

ASDは言葉の発達が遅くなる

基本的に、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている場合には言葉の発達が遅れるケースが多くあります。言葉がなかなか出てこなかったり、言葉を話し始めても発達が周りの子供より遅かったりします。

また、心理検査、IQ(知的指数)の検査でもASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)と診断される場合があります。ここでのIQとは、精神年齢と生活年齢の差を数値的に表したものです。

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言葉がなかなか出てこない、と言うことはまた別の発達障害の症状なのかもしれませんが、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の特徴として、単語を字義通りに捉えやすいことがあります。

単語を覚えて話せるようになったとしても、その単語に対しての定義が狭いため言われたことは言われたとおりにしか行なえないような状況になってしまいます。何かを言われたときに、自分の中で一度解釈し、考えてから行動に移すといった思考が出来ない場合が多くあります。

”話す”と”書く”の区別が付かない

また、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱える方の特徴として、”話し言葉””書き言葉”といった区別が付かないケースが多くあります。

一般的に、小学生くらいの年代になってきたら話すときの言葉と、書く言葉には変化が出てきますよね。話すときにはある程度フランクな言葉を使っていたとしても、読書感想文などの作文を書くときにはしっかりと書き言葉を正確に使えるようになります。

作文がちょっと下手な子供はいたとしても、やはり話をする時の言葉とは違いますよね。すこしかしこまった言葉を書くと思います。

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている子供はその違いが分かりません。作文を書くのに、全て話し言葉で書き続けそのまま完結してしまっていることがあります。そのような場合は特徴的なのですぐに気付くことができます。

また、その逆もあります。普通に友達と話すのに、やけに堅苦しい敬語を使っていたり、文章を書くときにしか使わない単語や表現をする場合があります。親に話をするときにも異常に畏まった話し方をしたりします。

これも、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)であるために話し言葉と書き言葉の区別が付かなくなってしまっている状態です。

周りが全く目に入らない

周りに対しての興味がない

これもASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている方の大きな特徴です。

一般的に、周りの状況を考えられていない人のことを”空気を読めない人”なんて言ったりしますよね。ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている場合にはまさにその状況になります。

  • 周りの友達が何を話しているのか
  • みんな何をして遊んでいるのか
  • 今は何をする時間なのか
  • 質問されているから、答えた方がいいのか
  • この場の雰囲気でこの言葉を言っても大丈夫か
  • この場所には何かルールがあるのか

など、自分以外は主体になる場面は生活していれば多くありますよね。そういったときにASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている子供は判断が付きません。と言うか、正確にはそういった周囲の子とは考えることが出来ません。完全に自分主体の思考になってしまいます。

自己中とは少し違う

空気を読めない状態=自己中心的な考えを持つ人

と認識している人も多くいますが、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の場合には自己中心的な考えとは少し違います。

自己中心的な人と言うのは、他人の気持ちも理解しながら「でも自分が一番だから」と判断することで自分を主張したがりますね。しかし、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の場合はそもそも他人に対して、第3者的な視点を持つことが出来ません。

他人のことを考えてあげる、共感してあげるための能力が弱くなっています。他人を無視しようと思っているわけではありませんし、自分が一番と思っているわけでもありません。他人を思いやる意識が少し弱っているために、強く意識しないと他人の視点に寄り添ってあげることが出来ないだけです。

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)であるが故に「あの子は自分勝手で自己中だ!冷たい子供だ!」なんて思われてしまうことがあります。でも本当は違います。本人は意識したくても出来ないかもしれません。親として、そこだけはしっかりと理解してあげましょう。

嘘がつけない

”嘘がつけない性格”と聞くと良い人だな~と感じるかもしれませんが、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の場合は本当に嘘を付くことができなくなっている場合があります。

人が嘘を付くと言うのはどういったシュチュエーションでしょうか?

  • 自分に不利なことがあるため、それを隠したい
  • 自分が有利になれる可能性があるため、自分を大きく見せたい
  • 友達にメリットがあると感じるため、嘘で隠す

たいていの場合、こういったことが嘘を付く原因になるんではないでしょうか?自分と友達、他人の状況を総合的に考えて嘘を付くべきかどうかを判断していることと思います。

しかしASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の場合には他人のことを考えることができませんので、嘘を付くことができません。他人の状況、自分の状況、先のことを予測して行動することができませんので嘘を付くと言う行為が出来ないんですね。

ルールを絶対に守る

ASDは自分のルールを絶対守る

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている子供は、規則性があるものを極端に好みます。ルールがあるとそのルールを絶対に守ろうとするんですね。

子供の頃にはおもちゃをしっかりと片付けられない子供が多くいますが、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている子供は逆にしっかりと片付けをします。また、おもちゃで遊んでいるときにもビシッと1列におもちゃを並べていたりします。

数字が分かるようになってからは数字の付いているおもちゃは数字の若い順に並べたり、大きさの違うおもちゃは小さい順にズラーッと並べたりします。これも、子供の中で一つのルールを作ってその規律を守っているんですね。

ただ、その規則性が乱れてしまうことがストレスになるため、生活の中では不便を感じることも多くなります。自分が考えていたルールと違うことがおきてしまうと、そのことに対して対応することが出来ません。

数字に関することが得意になる

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている子供で、特にこの規則性を守る子供の場合、数学やプログラムなど数字に関連することが得意になります。規則的に並んでいるもの、たくさん並んでいるものに対して強い関心を持つために数学やプログラミングの能力が発達することがあります。

学生の頃でも、国語や英語、社会などの言語を言葉を多く使う科目は不得意だったとしても数学、物理などの数字に強い傾向があります。

そのため、数学者やプログラマーなどにはASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている方も多くおられるようです。一般的には「全然わからない~」なんて言われるような数字の羅列が好きになるんですね

しかし、一度自分が決めたルールが変わってしまうとその変化に対応できないために苛立ってしまいます。

興味の無いことは全くできない

規則性を重視するために、興味を感じたことはとことん突き詰めていきますが、逆に興味を感じないことにはまったくと言って程意欲的になりません。

数学に関連することだったとしても、興味を感じることが出来なかったら全く手をつけることが出来ません。数学が得意になるのも、その規則性に対して興味関心を持つために継続することが出来ます。

こだわりがとても強いために興味を持たなくなってしまったらとことん興味がなくなってしまいます。

感覚が極端に敏感・鈍感になる

感覚がかなり敏感になる

人間には五感がありますね。視覚・嗅覚・味覚・聴覚・触覚の五つです。

  • 視覚:目で明るい光を感じる
  • 嗅覚:食べ物の匂いに釣られてしまう
  • 味覚:ご飯を食べて美味しさを感じる
  • 聴覚:音楽を聴いて心地よさを感じる
  • 触覚:手で物を触ったときに固さを感じる

こういった感覚を持っていますが、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている方の場合はこの感覚が極端に敏感になってしまう場合・鈍感になってしまう場合があります。

敏感になってしまい、生活に不便が出る

嗅覚が極端に敏感になってしまうことによって、自分の嫌いな匂いがする場所に近づけなくなってしまうことがあります。また、聴覚が敏感になることによって工場地域など、特殊な音が出ている区域に近づけなくなる可能性もあります。

特定の場所で生活に関係しない場所ならば問題ないかもしれませんが、社会人になり仕事を始めるときに職場の音や匂いがダメになって仕事が出来なくなってしまう場合もあります。感覚が敏感なことによって一般の人が経験しないような苦労をしますし、その苦労を分かってもらえないことでまたストレスを溜めてしまいます。

感覚が鈍感で体を傷つけてしまう

心にストレスを感じたときに、爪を噛んだり指の逆剥けをいじる癖がある人もいますよね。癖があったとしても、やはり痛いと感じた時点で止めますよね。血が出るまで続ける人は少ないと思います。

しかし、感覚が鈍感になってしまうことで、体を痛めていることに気付けない場合があります。爪を噛み続けて血が出てしまったり、自分の髪の毛を毟ってしまったりします。ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)のことを何も知らない人から奇異的な目で見られてしまうこともあり、それをストレスに感じまた自傷行為をしてしまう悪循環に陥る患者もいるようです。

全ての人が同じではない

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えている人には様々な特徴がありますが、全ての人が同じ症状を抱えているわけではありません。症状がひどい人、軽い人がいます。

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)と診断されていたとしても、初めて会った人は気付かないほど症状が軽い場合もあります。逆に、生活に支障をきたすほど症状が重い人もいます。

症状やその度合いがその人それぞれ違っているため、療育、治療に関してもなかなか一言で片付けられるものではありません。その人にあった治療法が必要ですし、適した支援が必要になります。

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)を抱えているお子さんは特に親の支援を必要としています。子供の症状をしっかりと読み取り、子供が訴えていることの真意を受け止めてあげましょう。過度な保護は成長のためにも良くありませんが、パパ、ママが一番の理解者でいてあげましょう。